彼女には片想いの人がいます。
名前はK。
初めて会った日にスーツ姿に清潔感の漂うその人に一目ぼれしました。
でもそれは彼女にとって試練の日々の始まりだったようです・・・
彼は結婚していました。
そして、名前以外何も教えてくれません。
気分転換の相手を求めていたのです。
でも、彼女は諦められません。
また逢えるのなら、彼が思い出してくれたときだけでいい。
そうして何度も逢い続けています。
彼と彼女は前世で夫婦だった時がありました。
人の心は時に普通には理解しがたい思いを持つことがあるものですが、
前世での彼もそういう人だったようです。
二人はイギリスの小さな町で農場を営みながら生活していました。
娘が3人おりました。
特にお金にも生活にも不自由はなく平凡で穏やかな毎日を過ごしていたのです。
そんなある日、彼は町を出て何処かへ行ってしまいました。
妻と子どもと大切に育てた動物たち、すべてを捨てて消えてしまったのです。
彼には、愛人がいたわけではありません。
それどころか行く場所のあてもあったわけではないのです。
平凡な毎日に飽きてしまった。
海辺の町で暮らしたかった。
彼はそう言っています。
その後、二度と農場へは戻りませんでした。
彼女は、娘たちと共にその後も農場を続けました。
愛する夫の帰る日を、ひたすら待ち続けました。
娘たちが大人になって、結婚して、孫が産まれて・・・・
時は過ぎていき、彼女は家族に囲まれ平安のうちに天に召されました。
しかし、彼女は愛する夫をひと時も忘れることはなかったのです。
次の世でもう一度会いたい。
満ち足りた生活でなくてもいい。ただずっと繋がっていたい。
それが彼女の願いでした。
そうして、今生でまた出逢ってしまったのです。
彼と彼女はこれからどうなるのでしょうか?
また、彼は去って行ってしまうのでしょうか。
悲しみを繰り返すために出逢ったのでしょうか。
男女の出逢いには、出逢わなければならない理由があることが大変多いのです。
そして、来世でも満たされない思いを持って生まれてきて
また彼と彼女は出逢うのかもしれません・・・・